コラム

コラム ロイヤー・スズキのメディカル雑談十選Vol.1

2017年04月24日

2017年 4月27日 コラム ロイヤー・スズキのメディカル雑談十選Vol.1

私も、この4月から弁護士生活24年目に突入し、今年の8月で満63歳になります。
いよいよ人生の第4コーナーをまわり、ゴールまで残り3ハロン(ハロンとは競馬用語で、
1ハロンは200mですので、600mです。)というところです。
そこで、今までの耳学問や体験に基づき、メディカル情報を雑談風にご紹介したいと思います。
名付けて「メディカル雑談十選」です。
Vol.1は「くも膜下出血」です。

1 「くも膜下出血」とは、脳内のくも膜下にある脳動脈瘤が破裂する病気です。
つまり脳動脈瘤を持っている人だけがかかる病気です。
致死率30%、後遺障害発生率30%の怖い病気です。
プロ野球巨人軍の木村拓也コーチは、グランドで倒れ二日後に亡くなりました。
もののけ姫の主題歌を歌っている声楽家の米良美一は、後遺障害が残り、
涙ぐましいリハビリの結果やっと歌えるようになったとのことです。
私の同級生は、夜に車を運転中に発症しそのまま側溝に脱輪し翌朝家人に発見されたときは亡くなっていました。
また出産の際に発症し、子供は無事生まれたが母親が亡くなったケースもありました。
女性にも見られ、男性も30代、40代の比較的に若い世代にも見られる病気です。

2 次に脳卒中との関わりについて説明します。
今から50年前の私が子供の頃は、脳溢血とか、「ちゅうき」という言葉が使われ、
「たがった」という表現も使われました。
脳卒中とは、脳の突然の中毒という意味で、出血性と虚血性に大別されます。

まず、出血性は、くも膜下出血とそれ以外の脳出血に分かれます。
血管と血管の分かれ目に動脈瘤ができてそれが破裂するのがくも膜下出血です。
これに対して、脳内の血管が、加齢や動脈硬化により弱くなって破裂するのが、脳出血です。
歌手の内藤やす子は、ハードな仕事、ストレス、過度な喫煙、飲酒の結果、脳出血になり、
一命はとりとめましたが、言葉も声も失いました。
が、外人夫の献身的な援助を支えにしたリハビリの結果、歌が歌えるようになった様子が
中居正弘の金スマで昨年取り上げられていました。

次に、虚血性とは、脳梗塞、つまり血管が塞がり詰まることです。
これも脳以外のところでできた血栓が脳内血管まで飛んで来て血管を塞いでしまう脳塞栓と、
脳内血管の内側の壁が厚くなって血栓ができる脳血栓があります。
フランクリン・ルーズベルト大統領や小渕恵三総理大臣は、現職で罹患し亡くなりました。
一命をとりとめても、手足の麻痺や言語の麻痺が生じることが多いです。
因みに、左脳の中の脳梗塞の場合には、言語中枢の棄損により発語障害が残り、
右手と右足が利かなくなります。長嶋茂雄や田中角栄がこのケースにあたります。
右脳の中の脳梗塞の場合は、左手と左足が利かなくなります。

3 次はくも膜下出血の対処法です。 対処法は2つあります。

1つ目は、開頭して破裂した箇所を外からクリップで止める方法です。
ただ頭蓋骨を切って開けることになるので患者のダメージが大きいという欠点を持っています。
2つ目は、股の付け根から動脈にカテーテルを入れて
破れた動脈瘤に内からコイルを埋め込んで塞ぐコイル塞栓術です。
この方法は、患者の負担が少ないので、最近この方法で行ける場合はこの方法が取られことが多いようです。

4 最後は予防法です。 脳動脈瘤ができないようにする予防法はありません。
また脳動脈瘤は、あるだけでは自覚症状がないので、あるかどうかは簡単にはわかりません。
そこで、定期的に脳ドックを受け、MRI で脳動脈瘤があるかどうかを検査します。
そして、脳動脈瘤が5ミリ以下であればそのままにして、血圧が急に上がらないように注意して過ごします。
他方、脳動脈瘤が5ミリ以上であれば、コイル塞栓術で瘤を塞ぐ処置を取るかを検討することになります。   

以上