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【法務コラム】妻のスマホをのぞき見…これって犯罪?違法?

2018年08月30日

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■妻のスマホをのぞき見…これって犯罪?違法?
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夫婦間のトラブルについての相談を受けた際に、相談者の方から 「妻(夫)のスマホを勝手に見て浮気相手とのメールを発見したんですが…これってどうなんでしょう?」 というご質問を受けることがたまにあります。
この質問については
①このような行為が犯罪になるか?
②このようにして得た浮気の証拠が裁判で証拠として使えるか?
という2つの側面から考える必要があります。

まず、①についてですが、結論から言うと、スマホのロック(指紋・パスワード・顔認証を問わず)を解除して、本体に保存されているメール・写真等のデータを見る、という限りにおいては、 現時点では、犯罪とはいえないものと思われます。
いわゆる情報の侵害行為については、不正アクセス禁止法が刑事罰を定めています。
しかし、同法で禁止されているのは、「ネットワーク経由」で「他人の識別符号」つまりIDやパスワードを使用する行為です。
つまり、スマホ本体のロックを解除して、中のデータをのぞき見る、という範囲では、ネットワークを経由していないので、 不正アクセス禁止法違反になりませんし、他の犯罪にもならないものと思われます。
逆に、上記の範囲を越えて、メールアプリを開いて、サーバに保存されているメールを見たりすると、同法違反の可能性が出てきます。
(なお、LINEについては、端末に保存されているメッセージを見る限りではセーフという見解と、 スマホのロックを解除してアプリを起動した時点でサーバとの通信が行わるので同法違反になる可能性がある、という両方の見解があります。)

また、②裁判で証拠として使えるか、というとさらに微妙になってきます。
先ほど、スマホの保存データを見る行為は不正アクセス禁止法に違反しない、と書きましたが、このような行為がプライバシー権の侵害にあたることは明らかです。
そうすると、いわゆる違法収集証拠として、民事裁判においても証拠として使えない、ということになる可能性が出てきます。
下手をすると、プライバシー権の侵害を理由に、逆に損害賠償を請求される可能性もあります。
(ただし、不貞の違法性の方が、メール覗き見の違法性より大きいから、という理由でスルーされることもままありますので、最終的にはケースバイケースです)

いずれにせよ、配偶者のスマホをのぞき見る行為は、「いろんな意味で」リスクのある行為ですので、くれぐれもご注意いただければと思います。

(弁護士 渡邊弘毅)

※この記事はメールマガジン2017年12月号で配信した記事と同一の内容です。