コラム

ロイヤー・スズキのメディカル雑談十選Vol.2 「森田療法」

2017年05月25日

2017年 5月26日 ロイヤー・スズキのメディカル雑談十選Vol.2 「森田療法」

「メディカル雑談十選」Vol.2は「森田療法」です。


1 森田療法とは何か
 森田療法とは、明治から昭和にかけて活躍した精神医学者の森田正馬(まさたけ)博士が考案した
神経症を治療する精神療法です。森田療法が当てはまる人を森田神経質という言い方をします。
「私は、森田神経質です。」というように。


2 神経症の種類
 神経症には、不安神経症、対人恐怖症、強迫神経症があると言われています。
 不安神経症は、今まで何ともなかったのに、何かの拍子に急に得体の知れない不安が生じて、
寝汗、不眠症(寝付きが悪い、直ぐに覚醒する)、不全感、抑うつ状態、自殺願望等の症状が生じます。
受験生のノイローゼ、産前産後のマタニティーブルーがその例です。
 対人恐怖症は、人前に出るのが怖いと思う症状であり、赤面症、吃音(吃り)、書勁等の例があります。
人前で話すのが怖い、人前で歌うのが怖いというのもあります。
 強迫神経症は、何かをしないと気が済まないというもので、
戸締まり恐怖症(自宅を出た後戸締まりしたかどうか気になって何度も戻ってしまう)、
清潔恐怖症(清潔かどうかが気になって、何度も手を洗ってしまう)が例としてあります。


3 森田療法の中身
 不安や恐怖心があると、それを打ち消そうとするはからいが生じます。
そうすると、精神交互作用によってますます不安や恐怖心が増してくることになります。
そこで、森田療法では、人間の感情は変えることはできないが、行動は変えることはできると考え、
症状は症状のまま、はからわずあるがままに、なすべき行動を取ること求めます。
そうすると、感情が変わって、症状も収まってくるというのです。
そこで、症状がひどい時は、入院させて、単純な労働、例えば庭の草取りや、廊下の雑巾掛けのような作業をさせて、
症状があっても仕事ができることを自覚させて自尊心の生ずるのを待ち、症状の改善につながるのです。


4 生活の発見会と集談団会
 生活の発見会とは、森田神経質の人達の自助組織、自助団体であり、
「生活の発見」誌という月間誌を発行しています。
その中では、森田神経質の人達が、自分の過半生を総括したり、森田療法の学習を行っています。
また森田療法に理解ある精神科医が森田療法の核心について述べています。
 また「集談会」という森田神経質の人達の自助組織が全国津々浦々に存在しており、
同病相憐れむで助けあっています。
我々仲間達が集談会が終わったら、居酒屋で一杯やるのです。
「生活の発見」誌の巻末には、いつどこで集談会が開かれるかの情報が、幹事の連絡先とともに掲載されています。 

以上