コラム

法務コラム「パワハラ問題対応のポイント」

2021年09月29日

パワハラに関する紛争は、ハラスメントが行われたときの証拠が存在しない場合も多いのですが、
当時のメールや録音データなどが証拠として提出される場合も増えており、
会社の職場環境配慮義務違反などを理由に会社に対する責任追及が認められる場合があります。
また、行為を行った上司等に比べて、会社自体の方が重たい責任が負わされることもあります。
そこで、会社としては、極力予防することが大切になります。

2019年2月に実施しました当事務所の労務セミナーでは、受講者の方に、実際に「パワハラチェックリスト」を見て頂き、
お試しで考えていただきました。
例えば、以下のような項目について、当てはまる場合にチェックするという内容のチェックリストです。

(1)メールを使うときには、誤解されないように、文章に気を使っている。
(2)部下のミスを叱責するメールを送る際、共有するため、職場全員をCCに入れて送っている。

基本的には(1)のような対応をなされている方がほとんどでしょうし、
(2)がパワハラに当たるリスクがあることは、分かりやすいと思います。
通常、わざわざ他の人達にも伝わるような叱り方をする必要はありませんよね。

このように、チェックリストは、分かりやすい内容でよく、チェックリストを考えることによって、
自分の言動に気をつけるきっかけとなればよいと思います。
被害を受けた人が相談できる窓口も重要ですが、
特にパワハラは、熱心に指導しようとして行き過ぎた言動をとってしまっている場合もあります。
上司の方も適度な指導を心がけるようになることが期待できますので、
定期的にチェックリストなどを使用した研修を実施されることをお勧めします。

以上
(弁護士 浅倉稔雅)

※この記事は2019年10月に当事務所メールマガジンにて配信した記事と同一です。