メールマガジン2024年9月号
2025年05月29日
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◆◇◆ 官澤綜合法律事務所メールマガジン◆◇◆
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こんにちは、官澤綜合法律事務所です。
お彼岸を過ぎて仙台はようやく秋らしい空気になってきました。
近年は過ごしやすい秋の期間が短くなっているように感じます。
秋の味覚、スポーツや読書、芸術とイベントは盛りだくさんですので自分の好きなことをする時間を設けて暑さに疲れた心身をリフレッシュしたいものですね。
さて、メールマガジン2024年9月号をお届けします。
ぜひご一読ください!
◆目次◆—————————————-
1、法務コラム「10年以上遺産分割未了の不動産の早期分割方法」 弁護士 官澤里美
2、「夏の思い出」 司法書士 佐藤光洋
3、10月9日法務セミナー開催のご案内
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■ 【法務コラム】
「10年以上遺産分割未了の不動産の早期分割方法
…令和3年改正後の民法第258条の2第2項の活用…」 」
弁護士 官澤里美
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私は、昭和61年4月に弁護士になりましたが、弁護士になりたての頃から、農家の方々から相談を受けることが多く(私も約1haの田を所有する農家ですが)、相続に関する相談や遺産分割交渉・調停等の依頼を、農家を継いだ長男から受けることが多かったです。
主な遺産が実家と農地のような場合ですと、親の世話をしてきた長男が実家と農地を相続することであまり揉めないことが多いのですが、不仲な相続人がいると揉めることが必至。
すると、実家に住んで農地を耕作するには遺産分割未了でも特に支障がないため、揉めて嫌な思いをしたくないとの気持ちから遺産分割が先延ばしになり、相続開始から10年以上経ってからやっと遺産分割に取り掛かるということもまれではありませんでした(本年4月1日から3年以内に相続登記申請を行うことが義務化されたので、そういうことは減っていくと思いますが)。
遺産分割が行われないまま長期間経過すると相続人の人数が増え、遺産分割の協議や調停を行うのも大変になります。
私は、そのような場合、以前から相続分譲渡を積極的に利用して早期解決に努めてきていました。
例えば、私の依頼者が被相続人である親の世話をする等して貢献してきた人だった場合、依頼者の貢献や苦労に理解のあり協力的な相続人からは依頼者に相続分の譲渡を受け、依頼者の相続分をなるべく増やした上で、譲渡してくれない相続人のみを相手として遺産分割の協議や調停・審判を行うのです。
すると、協力的だった相続人の気が変わって議論が錯綜したりすることもなく、比較的短期に依頼者に有利な解決に至れることが多いです。
最近は、相続分譲渡が利用されることも増えてきていますが、数次相続が発生している場合の不動産登記と相続分譲渡の関係、相続分譲渡と特別受益の関係には注意を要すると感じています。
ところで、相続開始から長期間経過した後に遺産分割調停となると、預貯金等がどこにどれだけあったのか不明で遺産の確定に手間取ることがあります。
不動産を法定相続分に応じたお金を払ってでも早く自分名義にしてスッキリさせたいと思っても、預貯金の使途をめぐって感情的対立が生じて紛糾・長期化することもあります。
令和3年の物権法・相続法の改正で、相続開始から10年経過すると特別受益・寄与分の主張ができなくなったため、特別受益・寄与分をめぐる紛糾はなくなりましたが、死亡直前の預貯金の払戻し等は紛糾の種になりえます。
そのような場合に使えるなと最近思っているのが、令和3年の物権法・相続法の改正で新設された民法第258条の2第2項です。
民法第258条の2は、第1項では、遺産分割未了の共有では民法第258条による通常の裁判による共有物分割はできないとこれまでの判例による原則を定めています。
しかし、第2項では、相続開始から10年経過したときは、民法第258条による通常の裁判による共有物分割、他の共有者に持分に応じた金銭での賠償を行って自分のものにすることもできると定められたのです。
但し、相続人から異議の申出があれば遺産分割の手続で行うことになりますが。
自分が使用する必要がない不動産については、持分に応じた金銭を取得できるとなれば、異議を申出する相続人はめったにいないと思うのです。
すると、新設された民法第258条の2第2項は、10年以上遺産分割未了の不動産を早期に分割・単独所有にしたい場合、かなり使える条項と最近気づいたのでした。
新設されて間もない条項であるため、解釈や運用が未知数の部分もあるのですが、積極的に活用していきたいと思っています。
以上
(弁護士 官澤里美)
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■ 「夏の思い出」 司法書士 佐藤光洋
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今年のお盆休みは暦に恵まれて当事務所は長くお休みをいただいており、妻の実家へ帰省することにしていたのですが、長男が風邪を引いてしまいキャンセルとなりました。
長男が元気になった頃、ひまを持て余した長女のリクエストで「エンドレスジャーニー展」を観てきました。
国境なき医師団による、世界の難民・移民の現状を伝える企画とのことで、大人の私だけでなく子どもたちも思うところがあったようでしたが、NHKのインタビューを受け地方のニュースで放映されるという新しい体験をしました。
さて、長男は虫取りに夢中で、私の実家へ行くと虫かごと虫取り網を持って楽しそうにしています。
ミンミンゼミは高いところにいて捕まえられませんでしたが、シオカラトンボやアブラゼミを捕まえ、しばらくかごに入れて観察したあと放すということを繰り返していました。
実家は山に囲まれていて、私が子どもの頃は外に行かなくても、開け放した窓からオニヤンマが入ってきて捕まえることができたものでした。
実家の玄関の灯りに寄ってきたノコギリクワガタ(オス)を家族が捕まえておいてくれたのですが、「うちで飼いたい」と長男が言うので、土と木とエサを買って連れて帰ってきました。
長男の友だちの家では冬を越すことができたクワガタがいるそうで、私も週に一度せっせと土を変え、長男も3日に一度昆虫ゼリーをあげるなど、親子で楽しくお世話をしています。
来年の夏は川で魚をとりたいと考えています。
子どもの頃は近くの商店に眼鏡もやすも売っていたのですが、私は父が竹で作ってくれた手製のものを使っていました。
眼鏡にはヨモギをすりつぶしてギュッと絞ったものを塗り、水で流してくもり止めとしていました。
石の影や暗いところに隠れているヤマメ、イワナ、カジカを刺し、エラに笹を通して家へ持って帰り、母や祖母が焼いてくれた魚を食べるのが嬉しかったことをよく覚えています。
また、稲穂が垂れる頃にはアブが大発生するので、慌てて逃げたのも良い思い出です。
子どもたちにも、春夏秋冬、いろいろな体験をしてもらいたいと思っています。
以上
(司法書士 佐藤光洋)
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■ 10月9日法務セミナー開催のご案内
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※開催は終了しました。
【セミナー概要】
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テーマ: SNSのお悩み解消!
企業公式SNSの運用・従業員の利用・誹謗中傷対策について
今や誰もがInstagramやX(Twiter)、FacebookなどのSNSを日常的に使っています。
社会におけるSNSの存在感が大きくなるにつれて、当事務所でもSNSについてのご相談を多くいただくようになってきました。
今回のセミナーでは、「公式SNSを作った方がよさそうだけど、運用が心配…」「従業員が会社の内情を勝手にSNSに書き込んだらどうしよう…」「誰かがSNSに事実無根の書き込みをして拡散してるんだけど、どう対応すれば?」といったお悩みにお答えします。
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講師: 渡邊 弘毅(弁護士)
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■ あとがき
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メールマガジン配信担当 総務課のWです。
当事務所のメールマガジンをお読みくださり誠にありがとうございます。
内容はいかがでしたか?
内容についてのお問い合わせやご感想は当事務所までお気軽にお寄せください。
セミナーでじっくり聞いてみたいテーマやメルマガ法務コラムで取り上げてほしい、
ちょっとした法的な疑問などもぜひお知らせください!
私もいくつかSNSのアカウントを持っています。
見ていると時間があっという間になくなっていくので、目的なく使うのはよくないなと思いながら使っています。
話は変わりますが、今年カマキリが大量発生している地域があるとSNSで見かけました。
子どもの頃は今ほど虫が苦手ではなかったのですが、年をとるにつれどんどん苦手に。
バッタが跳ねるだけでびっくりする大人になるとは思ってもみませんでした。
今月のメルマガは以上です。
次回は10月25日頃配信予定ですのでお楽しみに!
以上