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新型コロナウイルスに関するQ&A

2020年04月27日

本Q&Aに記載の情報は,執筆時点の情報に基づくものですが,新型コロナ ウイルスに関する状況や各種支援策等は日々変化しております。できる限り最新の情報を反映しておりますが,参考URL等もご参照のうえ,最新情報をご確認いただければと思います。

本Q&Aに関する問題でお悩みの方は,当事務所にご相談下さい。

目次

【事業者編】
・労務関係について
Q1(緊急事態宣言により従業員を休業させた場合の賃金の取り扱い)
Q2(濃厚接触者を出勤停止した場合の賃金の取り扱い)
Q3(感染者への賃金の取り扱い)
Q4(感染者情報の開示要求に対する対応)

・賃貸借について
Q5(賃料減額等要請への対応)
Q6(感染者発生による閉鎖期間中の営業補償要求への対応)
Q7(賃料支払いが困難となった場合の対応

・資金繰りについて
Q8(資金繰り支援のための諸制度)
Q9(手形決済が困難となった場合の対応)
Q10(銀行への返済が困難となった場合の対応)
Q11(納税が困難となった場合の対応)
Q12(社会保険料の支払いが困難となった場合の対応)

 

【個人編】

Q13(小学校臨時休校に伴い仕事を休まざるをえなくなった場合の支援制度)
Q14(感染や会社の指示により仕事を休んだ場合の補助制度)
Q15(DV被害者等の特別定額給付金受給)
Q16
(転勤の中止と賃貸物件解約の可否)
Q17(結婚式のキャンセルとキャンセル料支払いの要否)
Q18(債務の返済等が困難な場合の対応)
Q19(面会交流の実施の是非)

 



【事業者編】

<労務関係について>
※ 緊急事態宣言が全国に拡大される等,新型コロナウイルスに関しての情報・事態は流動的です。
特に雇用関係については,そもそもの雇用契約の内容,就業規則の内容等により,個別的に判断せざるを得ないケースが多いと考えられます。
また,労使協力して今回の非常事態に対応するため,企業側も法制度を理解した上で,従業員の生活保障に可能な限り配慮なされることをお勧め致します。
判断にお悩みの場合には,専門家にご相談ください。

 

Q1(緊急事態宣言により従業員を休業させた場合の賃金の取り扱い)
従業員に感染者は出ていませんが,新型コロナウイルス対策特別措置法(正式名称:新型インフルエンザ等対策特別措置法)による緊急事態宣言が出されたことを受け,営業を中止,従業員は休業とすることにしました。
① この場合,従業員への賃金はどのようにすべきでしょうか。
② この場合,従業員を一律に有給休暇扱いにしてもよいでしょうか。

A1
① 不可抗力以外の「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合,企業側は休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う必要があります(労働基準法26条)。
一般的には,不可抗力による休業と言えるためには,
ⅰ その原因が事業の外部より発生した事故であること
ⅱ 事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること
という2つの要素をいずれも満たす必要があると解されています。

まず,今回の緊急事態宣言や要請は,事業の外部において発生した事業運営を困難にする要因と言えるため,ⅰを満たすと考えて良いでしょう。
しかし,ⅱを満たすかどうかは,個々の企業の事情によることになります。
つまり,企業側としては,休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていたと認めてもらう必要があります。
在宅勤務にする,若しくはその他業務に就かせることによって休業を避けられるにも関わらず,休業としてしまうと,ⅱの要素を満たさないと判断されてしまうおそれがあります。
そのため,緊急事態宣言や要請を受けて事業を休止し,労働者を休業させる場合であっても,一律に休業手当の支払いをしなくて済むわけではなく,休業を回避する方策を検討する必要がありますので,ご注意ください。

② 年次有給休暇は,原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものです(労働基準法39条5項)。
そのため,企業側が従業員の意向を確認せずに,一方的に年次有給休暇を利用させることはできません。

ただし,従業員に対し,年次有給休暇の任意の利用をお願いすること自体が禁止されているわけではありません。
そのため,従業員に年次有給休暇を利用してもらいたい場合,企業側の事情等をよく従業員に説明し,理解してもらった上で,任意の利用をしてもらうことは考えられます。
(弁護士 浅倉稔雅)

 

Q2(濃厚接触者を出勤停止した場合の賃金の取り扱い)
従業員の家族が新型コロナウイルスに感染しました。従業員の感染は未確認であるものの,濃厚接触者ということで一定期間出勤停止とすることにしました。この場合,従業員への賃金はどのようにすべきでしょうか。

A2
① 家族が感染している場合,通常は,保健所の調査を受け,濃厚接触者として,保健所から自宅待機の要請を受けることになります。
このような場合,通常は不可抗力による休業となり,賃金の支払い義務が生じないと考えられます。
なお,企業側としては,自宅待機の場合でも,在宅で仕事ができるかどうか等の検討を行なっておく必要はあると思います。

② 行政の要請等もなく,感染も確認できていない状態にも関わらず,企業側が感染予防のための自主判断によって休業させる場合には,不可抗力には該当しないため,少なくとも休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う必要があります(労働基準法26条)。
なお,個々の雇用契約や就業規則の内容により,平均賃金の100%を支払う必要がある場合もありますので,ご注意ください。
(弁護士 浅倉稔雅)

 

Q3(感染者への賃金の取り扱い)
従業員が新型コロナウイルスに感染したことが判明し,即時入院することになりました。
この場合,従業員への賃金はどのようにすべきでしょうか。

A3
使用者は賃金や休業手当を支払う義務はありませんが,就業規則等で賃金保障についての定めがあれば規定に沿って取り扱ってください。
業務中あるいは通勤中に感染した場合は労働災害となることが考えられます。
労災として認定されれば,治療費や休業補償が労災から受けられます。
また,業務災害以外の病気で支給を受けられる健康保険の傷病手当金申請を従業員に案内するのもよいでしょう。
なお,従業員が国民健康保険加入者でも市町村によっては傷病手当金の支給を受けられる場合があります。
(弁護士 橋本治子)

 

Q4(感染者情報の開示要求に対する対応)
従業員が新型コロナウイルスに感染したことが判明したため,ホームページで感染者が発生したことを告知しました。
顧客から,「自分が濃厚接触者になっているか知りたいので,誰が感染したのか教えてほしい」と言われました。
どのように対応すべきでしょうか。

A4
顧客への情報提供は,顧客との契約上の付随義務(安全配慮義務)と位置付けられますが,感染者のプライバシーの保護に十分配慮しなければなりません。
したがって,情報提供にあたっては,事業内容,当該従業員の濃厚接触の状況,感染拡大のリスクなどを総合考慮し,感染拡大防止のために必要な範囲内での情報提供であるかを個別に検討・判断することになります。
感染拡大させる可能性がない時期の行動であれば情報提供する必要性はないと言えるでしょうし,情報提供するとしても当該従業員の個人が特定できる形で情報提供する必要があるのかは慎重な判断を要します。

また,従業員が急に入院してしまうなどして,顧客への情報提供について従業員の同意を得ることが困難な場合もあるかと思います。
この点については,顧客での感染拡大防止や事業活動の継続のため,また公衆衛生の向上のため必要がある場合には,本人の同意は必要ないと考えられます。
(弁護士 橋本治子)

 

<賃貸借について>

Q5(賃料減額等要請への対応)
賃貸ビルを所有しています。飲食店のテナントから,新型コロナウイルスの影響で売上が激減し,賃料の支払いができないので,賃料の支払いを減額または猶予してほしい,と言われました。
どのように対応すべきでしょうか。

A5
賃貸人としては,賃借人であるテナントの売上が激減したからといって,賃料の減額や猶予に応じなければならない法的義務はありません。
ただ,これまでの関係等を考慮して,例えば,一定期間の賃料の減額や支払いの猶予等によりテナントを救済することは考えられますし,実際に行われている例がマスコミ報道されています。
ただ,そのような救済策を行う際には,期間を限定して行うようにして下さい。
期間を限定せずに減額を行うと,後で前の額に戻そうとしても応じてもらえずトラブルになる恐れがあるからです。
賃料支払いに困っているテナントを救済するような立法の動きもあるようですので,法律が成立した場合にはその内容も考慮して対応を決めて下さい。

なお,新型コロナウイルスの影響で事業継続が困難となるおそれが明らかなテナントについての復旧支援目的の賃料減額については,損金算入可能とされています(下記のfaqの26ページ参照)。
ただし,この取り扱いを受けるためには,「賃料の減額が,取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり,そのことが書面などにより確認できること」が必要とされています。
そのため,賃料減額をする際にはそのような目的を明記した合意書を作成し,前述のような理由で減額する期間も明記して下さい。

【参考】
国税庁FAQ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf
(弁護士 官澤里美)

 

Q6(感染者発生による閉鎖期間中の営業補償要求への対応)
テナントの1つから新型コロナウイルス感染者が出ました。
全館を消毒するため,3日間,全館閉鎖としたところ,他のテナントから,閉鎖期間中の営業補償をしてほしい,と言われました。
どのように対応すべきでしょうか。

A6
賃貸人は,貸した建物を賃借人であるテナントに使用収益させる義務があります。
そのため,消毒のためとはいえ全館閉鎖で使用できないようにしたのであれば,消毒について責任の無い他のテナントには,その期間の賃料を請求できないので,前払いを受けていたのであれば返還しなければなりません(担保責任)。
しかし,それを超える営業補償は損害賠償責任であり,賃貸人の責めに帰することができない事情による場合は,賃貸人は応じる法的責任はありません。
新型コロナウイルス感染者が出たことによる全館消毒の場合は,賃貸人の責めに帰することができない事情に該当すると思われますので,営業補償には応じる義務はないと思われます。
(弁護士 官澤里美)

 

Q7(賃料支払いが困難となった場合の対応)
飲食店を経営しています。新型コロナウイルスの影響で売上が激減し,賃料の支払いが難しい状態となっています。
どのようにすべきでしょうか。

A7
Q5に対するA5に記載したとおり,売上が激減したからといって,賃貸人には賃料の減額等に応じなければならない法的義務はありません。
ただ,賃貸人にお願いすれば一定期間の賃料の減額や支払いの猶予等に応じてもらえることもありますので,まずは賃貸人に現状を説明して賃料の支払い猶予等をお願いしてみて下さい。
また,休業協力金等の行政からの支援策も予定されていますので,それらの活用や,賃料支払いに困っているテナントを救済するような立法の動きもあるようですので,法律が成立した場合にはその活用も考えてみて下さい。
ただ,売上の回復のめどが立たず,借りている店での飲食店の経営の継続が困難な場合には,賃貸借契約の解約等による閉店も考えた方がよいでしょう。
(弁護士 官澤里美)

 

<資金繰りについて>

Q8(資金繰り支援のための諸制度)
新型コロナウイルスの影響で売上が激減し,資金繰りが大変苦しくなっています。
事業を何とか維持していくための制度として,どのようなものがあるでしょうか。

A8

事業を維持する資金繰りのための制度として大きくは緊急融資(借入れ)と給付金(補助金)があります。

緊急融資は現在では多くのメニューがありますが,政策金融公庫による「新型コロナ感染症特別貸付」が業種を問わず利用でき融資の条件も緩和されて最も利用しやすいでしょう。
公庫による特別融資は対象となる業種や条件が異なる多くの制度があります。相談窓口は政策金融公庫となります。

またセーフティーネット保証による民間金融機関からの借入もあります。
仙台市などの自治体に対象者であることの認定をしてもらい,信用保証協会の保証をもとに民間の金融機関から借入するものです。
対象となる業種も融資の条件も当初伝えられていたものより相当程度緩和されています。
保証の対象となるかどうか融資を希望する金融機関か,あるいは認定を求める自治体に相談してみてください。

セーフティーネット保証による借入れについては,宮城県の制度融資による保証料の補助や実質無利子化の援助の制度も開始しています。令和2年4月30日以前に緊急融資を受けていた場合にも適用されますので,融資を受けた金融機関に確認してみてください。

上記はいずれも借入であっていずれは返済が必要な資金ですが,返済の必要のない給付金(補助金)の制度として「持続化給付金」と呼ばれる制度があります。
これは新型コロナウィルス感染症の影響により売上が前年同月比で50%以上減少している事業者が対象で,中小の法人事業者に200万円,個人事業者に100万円を給付するというものです。
インターネットによるWeb上の電子申請が基本とされ,電子申請が困難な場合のサポートもあります。

※なお融資や給付金をかたる詐欺的な行為が多発していますのでくれぐれもご注意ください。

【参考】

政策金融公庫の特別貸付についてのサイト
https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

宮城県による中小企業者への金融支援についてのサイト
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/syokokin/shingatacorona-kinyuu.html

持続化給付金申請の専用サイト
https://www.jizokuka-kyufu.jp/

(弁護士 長尾浩行)

 

Q9(手形決済が困難となった場合の対応)
新型コロナウイルスの影響で売上が激減し,1週間後の手形の決済資金がどうしても足りません。
どのように対応すべきでしょうか。

A9
令和2年4月17日に全国銀行協会は手形や小切手の不渡り処分を当面猶予する特別措置の開始を発表しています。
これは1995年の阪神大震災と2011年の東日本大震災のときにも発動されたものです。
したがって現在では支払期日までに決済ができない事態に陥ったとしても不渡り処分とはされないことになります。
しかしながらこれはあくまで不渡り処分が猶予されるにとどまり,手形の所持者に対する支払義務は存続します。
事業を継続するためには,並行してQ8にある資金繰りや次のQ10にあるように銀行ほかの債務者との相談が必要です。
(弁護士 長尾浩行)

 

Q10(銀行への返済が困難となった場合の対応)
新型コロナウイルスの影響で売上が激減し,銀行への支払いがどうしても難しい状況です。
どのように対応すべきでしょうか。

A10
銀行に対し,事情を説明し,弁済の猶予や支払い条件の変更を求めてみてください。
なお,金融庁は,金融機関に対し,複数回にわたり,既往債務の元本・金利を含めた返済猶予等の条件変更について,迅速かつ柔軟に対応することを要請しており,金融機関もその要請に沿った対応をとることが期待されています。

また,Q8でご紹介した各種支援制度の利用も検討してみてください。
なお,中小企業再生支援協議会では,新型コロナの影響を受けた中小企業者に対して,窓口相談や金融機関との調整を含めた新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール計画策定支援を行っています(問い合わせ先:宮城県中小企業再生支援協議会 022-722-3872)。

【参考】
金融庁HP
https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/press.html#05

中小企業庁HP
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/2020/200406saisei.html
(弁護士 小向俊和)

 

Q11(納税が困難となった場合の対応)
新型コロナウイルスの影響で売上が激減し,税金を納期限までに支払うことができません。
どのように対応すべきでしょうか。

A11
新型コロナウイルスの影響により納税が困難となった方を対象に,一定の条件のもとに,納税を猶予する制度が設けられています。
また,条件を満たしていない場合でも,事情により猶予が認められることも考えられます。
まずは所轄の税務署(徴収担当)に相談してみてください。

【参考】
国税庁HP(国税)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.html

総務省HP(地方税)
https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000399.html
(弁護士 小向俊和)

 

Q12(社会保険料の支払いが困難となった場合の対応)
新型コロナウイルスの影響で売上が激減し,社会保険料を支払うことができません。
どのように対応すべきでしょうか。

A12
厚生年金保険料や労働保険料について,一定の条件のもとに1年以内の猶予制度が設けられております。
また,条件を満たしていない場合でも,事情により猶予が認められることも考えられます。
まずは所轄の年金事務所や労働局に相談してみてください。

【参考】
日本年金機構HP(厚生年金保険料)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202003/20200304.html

厚生労働省HP(労働保険料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000619179.pdf
(弁護士 小向俊和)


【個人編】

Q13(小学校臨時休校に伴い仕事を休まざるをえなくなった場合の支援制度)
小学校が臨時休校になり、子どもの世話のため仕事を休まざるを得なくなりました。
どのような支援制度がありますか。

A13
① 小学校休業等対応助成金(労働者を雇用する事業主の方向け)
従業員の方に直接支払われる支援制度ではありませんが、有給の休暇を取得させた事業主に対する助成金の制度が創設されました。

小学校等の臨時休業等に伴い、その小学校等に通う子どもの世話が必要な「労働者(保護者)」(正規雇用・非正規雇用を問いません。)に対し、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主(労働基準法上の年次有給休暇を除く)が対象になり、1日あたり8,330円を上限として、有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額全額が助成されます。

事業主がこの助成金を活用して有給の休暇制度を設け、年休の有無にかかわらず利用できるようにすることで、保護者が希望に応じて休暇を所得できる環境を整えることが期待されています。

助成金の支給要領、申請様式や具体的な申請手続については厚労省のHPを参照して下さい。

厚労省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

② 小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)
委託を受けて個人で仕事をする方に対しては、定額で1日あたり4100円が支給される支援金制度が創設されました。
小学校等の臨時休業等に伴い、その小学校等に通う子どもの世話が必要な「委託を受けて個人で仕事をする方(保護者)」に対し、就業できなかった日について支援します。

支給要件や申請等の手続きについては、厚労省のHPを参照して下さい。

厚労省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html

(弁護士 翠川 洋)

 

Q14(感染や会社の指示により仕事を休んだ場合の補助制度)
①新型コロナ感染症に感染して療養のため仕事を休んだ場合に,どのような補助制度がありますか。

②勤務先から,「37.5度以上の発熱がある場合は出勤を控えるように」と言われていますが,37.5度以上の発熱があったことから,会社を休みました。
この場合,給料はもらえないのでしょうか。

A14
①新型コロナに感染して仕事を休んだ場合…傷病手当金
新型コロナウイルスに感染したことにより仕事を休んだ場合,会社から給料の支払いは受けられないのが原則です。
もっとも,この場合には,傷病手当金という制度の利用が考えられます。
これは,健康保険等の被保険者が,業務災害以外の理由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ場合に,休業4日目以降の所得保障を行う制度ですが,新型コロナ感染症に感染して療養のため仕事を休んだ方も利用することができます。

例えば,
ⅰ 自覚症状は無いが,検査の結果,「新型コロナ陽性」との判定を受け入院している場合
ⅱ 発熱等の自覚症状があり療養のため仕事を休んでいる場合
等についても,支給対象となりえます。

②勤務先の指示に基づき仕事を休んだ場合…休業手当
勤務先の指示により会社を休んだ場合には,休業手当(労働基準法第26条)の支払いが受けられる可能性があります。
労働基準法第26条では,会社に責任のある理由で労働者を休業させた場合,労働者の最低限の生活の保障を図るため,会社は,休業期間中に休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければならないとされています。

例えば,
ⅰ 会社が発熱等の症状があるという理由だけで労働者に一律に仕事を休ませる措置をとる場合
ⅱ 会社が「帰国者」や 新型コロナウイルス感染者との「接触者」である労働者について,労働者が「帰国者・接触者相談センター」に相談した結果,職務の継続が可能と言われたにもかかわらず,会社の判断により休ませる場合
等は,休業手当の支払いが必要となる主な例です。

他方,
ⅲ 発熱等の症状があるため,労働者が自主的に会社を休む場合
ⅳ 都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合
等は,必ずしも会社に責任があるとはいえませんので,休業手当の支払いが必要とならない主な例です。

もっとも,休業手当の支払いの対象とはならない場合でも,労使の話し合いの上就業規則等により休業させたことに対する手当を支払うことや,事業場で有給の特別休暇制度を設けることが望ましいものですので,そのような取り扱いがないか,勤務先に確認してみてください。
また,取得可能な年次有給休暇がある場合には,年次有給休暇を取得することも考えられます。

【参考】
厚労省HP
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622924.pdf

(弁護士 鈴木忠司)

 

Q14(DV被害者等の特別定額給付金受給)
私は夫から暴力を受けていたことから,子どもを連れて逃げ,現在夫には居所を隠して,夫とは別の市町村で暮らしています。
夫に居場所を知られたくないこと等あり,住民票は移していません。
今回の1人10万円の特別定額給付金は,私の分も子どもの分も世帯主である夫に支払われてしまうのでしょうか。

A14
特別定額給付金は,原則として世帯主に支払われることになっていますが,これを避けるための手立てとしては,以下の2つ考えられます。
①住民票の移動
ただし,安全の確保のため,夫に転居先が分からないよう,新しい住民票について,夫があなたと子どもさんの住民票を閲覧したり交付を受けられないようにブロックしておく必要があります。
この点,配偶者からの暴力(DV),ストーカー行為等,児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の方は,市町村に申出ることにより,加害者からの「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」「住民票(除票を含む)の写し等の交付」「戸籍の附票(除票を含む)の写しの交付」の請求・申出があっても,これを制限する(拒否する)ことができます。
この制度を利用するには,市町村に申出る手続きが必要ですし,措置が執られるまでにかかる時間の点も含めて,詳細は,住民票のある市町村にご相談ください。

②避難先自治体に,DV避難者に対する特別な配慮を求める申出をする
配偶者からの暴力のために避難している方の中には,様々な事情により住民票を移動できない方もいらっしゃいますので,避難先の自治体に申出をすることにより,一定の条件のもとに,世帯主とは別にDV等の被害者の方が直接受給することを可能とする取り扱い扱いがなされることになりました。
なお,原則として,4月30日までに手続きをすることが必要ですが,4月30日を過ぎても,まだ加害者の方に支払われていなければ,それを止めて,被害者の方に支払われます。

●申出方法
避難先の自治体に,申出書と必要書類を提出する。
【申出書書式】
https://www.soumu.go.jp/main_content/000684545.xls

●上記扱いをしてもらうための条件
下記いずれかに該当すること(下記のうちひとつで大丈夫です)
ア 裁判所の保護命令が出ている
イ 婦人相談所等からDV被害者保護証明書が出ている
なお,これには,地方公共団体の判断により,婦人相談所以外の配偶者暴力対応機関が発行した確認書を含みますので,DV相談をしている先が,婦人相談所以外の場合は,相談先に確認書を出してもらえるよう依頼してください。確認書の書式は下記です。

【確認書書式】
https://www.soumu.go.jp/main_content/000684544.pdf

ウ 基準日(4月27日)の翌日以降に住民票を居住市町村に移し,支援措置対象となっている

以上についての詳細は,総務省が出しているパンフレットに記載されておりますので,こちらも参照してください。
総務省HP
https://www.soumu.go.jp/main_content/000684584.pdf
(弁護士 丸山水穂)

 

Q15(転勤の中止と賃貸物件解約の可否)
今年の4月に転勤のため,転勤先の住居の賃貸借契約をしていましたが,コロナウイルスの影響で会社の事業規模を縮小することとなり,急遽私の転勤も白紙になりました。
① 転勤先での住居が必要なくなったのですが,賃貸借契約を解約することができるでしょうか。
② 契約を解約する際,違約金等を支払わなければいけませんか。

A15
①について
まず,賃貸借契約書の内容をご確認ください。
通常の建物賃貸借契約の場合,賃貸期間の定めが契約書に記載されているのと同時に解約をする権利について留保する旨の条項が記載されていることが一般的です。
この場合,その条項にしたがって解約することが可能です。ただし,解約は契約を終了させたい日の一定期間前までにするよう規定されていることが一般的です。

他方,定期建物賃貸借契約(契約更新がない契約)の場合,居住用に借りた建物(借りた部屋の床面積は200㎡未満)であれば,「やむを得ない事情により,建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったとき」(借地借家法38条5項)は,解約の申し入れが可能です。
本件では,転勤の予定が無くなったことは,やむを得ない事情に当たると考えられます。
この場合,契約は,解約の申し入れから1か月の経過で終了します。

なお,今回のコロナウイルスの影響は,契約時には想定されなかった点も多くあると考えられます。
大家さんとの交渉によっては,契約書の規定によらずとも,合意による即時の解約に応じてもらえる余地もありうると思われます。
大家さんによく事情を説明して,交渉してみてはいかがでしょうか。

②について
賃貸借契約を解約した場合においても,契約終了日までに発生した賃料については,原則として支払う必要があります。
違約金については,契約書に明記されている場合には,原則として契約書に記載された内容で支払う義務が発生しますが,個人が事業者から賃借している物件の場合,その金額が解約によって事業者が受ける平均的な損害を超えるものである等,消費者契約法9条や10条に該当するような場合には,その超過部分について無効となることがあります。
その他,明らかに過大な違約金が定められているような場合も,その一部について無効となる可能性があります。

また,合意による即時解約の場合と同様に,違約金の支払の要否について大家さんと交渉することも考えられます。
全く入居せずに解約する場合,退去時のクリーニングの必要性や退去後新たな入居者への引渡しが可能になるまでの期間が,契約時の想定とは異なる場合があるため,退去時の違約金や諸費用をどのくらい支払う必要があるかという点は,交渉の余地があると考えられますし,今回のコロナウイルスの影響の大きさに鑑み,柔軟な対応をしていただける余地もあると思います。
①の解約の点も含め,大家さんに解約に至った事情を説明して交渉してみてはいかがでしょうか。
(弁護士 渡部真莉奈)

 

Q16(結婚式のキャンセルとキャンセル料支払いの要否)
今年結婚式を挙げる予定でしたが,コロナウイルスの影響で延期せざるを得なくなりました。
式場からは通常通りのキャンセル料の支払を求められています。全額支払わなければならないでしょうか。

A16
申込者の都合によるキャンセルの場合には,式場に対しては,キャンセルによって式場に発生した損害を賠償する必要があります。
結婚式場が使用している約款にはキャンセル料(解約料金)についての規定が置かれていることが一般的ですが,その規定は,この損害賠償額の予定といえるでしょう。

一方,約款には,例えば,申込者にも式場にもどちらの責めに帰すことのできない事由により,式場を使うことができなくなったときには,申込者も式場も責任は負わないものとする,いわゆる免責条項が定められている場合があります。
この点について,今回のコロナウイルス感染拡大を原因とする緊急事態宣言発出を受け,都道府県知事が式場側に営業自粛要請を出した場合はもとより,外出自粛要請により,結婚式の開催が事実上困難となったような場合にも,前記の免責条項に該当し,キャンセル料は発生しない可能性があります。
なお,今回の緊急事態宣言発出等を原因として,特定期間について結婚式を執り行わないことを決め,その期間の結婚式については,キャンセル料を発生させないことにした式場や,すでにかかった実費以外にはキャンセル料を請求しないこととしている式場もあるようです。式場とは,コロナウイルスの影響により現実的に結婚式の開催は困難であること等を十分に説明して話し合ってみるとよいでしょう。

なお,今後式場を新規に予約する方については,コロナウイルス未収束を原因とする延期の際のキャンセル料につき,実費のみとする等,柔軟な対応を採ることを決めた事業者団体もあるため,現在キャンセルを検討されている方や結婚式の挙行を検討されている方は,今後の運営の見通しについて,式場に聞いておくとよいでしょう。
(弁護士 渡部真莉奈)

 

Q17(債務の返済等が困難な場合の対応)
コロナウイルスの影響により勤務先が営業を自粛することになり,今月から収入が激減してしまう見込みです。貯蓄もなく,家賃を支払えるかどうかさえ微妙なところで,その他のカードローン等,債務の返済は到底できそうにありません。
どうすればよいでしょうか。

A17
債権者も現在の社会情勢は当然に認識しているはずですから,まずは債権者に一時的な返済の猶予をお願いしてみましょう。債権者の理解を得て猶予をもらえれば,特段の法的手続を取らなくとも,コロナウイルスの影響がなくなり,収入も元の状態に戻った後に返済を再開し,債務の返済を継続できる可能性があります。
なお,収入については,勤務先から休業手当等を受け取ることができる場合もあります(当事務所事業者向けQ1・Q2)。

また,政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は,令和2年3月18日付で「生活不安に対応するための緊急措置」を公表しており,
①個人向け緊急小口資金等の特例の拡大,②公共料金の支払い,税金の納付・徴収の猶予,の対応を講ずる方針を明らかにしています。
①についてはお住まいの市町村の社会福祉協議会に,②については電気・ガス・水道等の関係各社や税務当局にお問い合わせ下さい。

上記のような策を講じてもなお中長期的に債務の返済が困難である場合には,現状の制度のもとでは,任意整理,個人再生,破産等の債務整理の手続を検討せざるを得ないかと思われます。そのような場合には,弁護士へのご相談をお勧めします。

過去に個人再生の手続を行った方で,コロナウイルスの影響により再生計画を遂行することが著しく困難になった場合には,再生計画の変更を申し立てる余地があるかもしれません。こちらも弁護士へご相談下さい。

【参考】
仙台市社会福祉協議会HP
http://www.shakyo-sendai.or.jp/n/
(弁護士 武田賢治)

 

Q18(面会交流の実施の是非)
離婚した元夫との間で,毎月1回子どもと面会交流をさせるという取り決めがあります。
しかし,現在子どもの通学する学校も休校となっているような状況の中で,子どもと元夫とを面会させるのは,感染の危険もあり心配です。
このような状況でも,取り決めどおりの面会をさせなければならないのでしょうか。

A18
各地で休校や外出制限の措置が取られている中で,お子さんを外出させて面会交流を実施することに不安を感じるのは不合理とはいえません。
そもそも普段面会交流を行う際に利用している施設や店舗も,その多くが休業しているかと思われます。

裁判所で面会交流の取り決めをする場合には,面会交流の実施にあたって「子の福祉を尊重する」という趣旨の文言が入ることが多く,面会交流の実施にあたっては,お子さんの健康や安全という観点も無視できない考慮要素になります。
仮に面会交流の取り決めがあったとしても,その当時に今回のような事態までをも想定していたものとは言い難く,取り決めどおりの面会交流が実施されなければならないとは限りません。

他方で,面会交流は,子の福祉の観点,すなわち親子の交流を促進し,子どもの健全な成長発達を保障することを目的としているものですから,仮に「不急」なものであったとしても,「不要」なものではありません。
お子さんのために今できることを父母間で話し合い,可能な範囲で交流を実現することが望ましいと言えます。
具体的には,ビデオ通話や電話,手紙等の手段を活用することが考えられるでしょう。

未曽有の事態により,ただでさえお子さんは普段と異なるストレスを抱えている可能性があります。父母間でお子さんのためにできることを話し合い,実行していくことが肝要です。
(弁護士 武田賢治)

 

最終更新日:2020年5月11日