コラム

【法務コラム】相続の開始時

2019年04月10日

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■  【法務コラム】相続の開始時
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以前、兄弟間でお母様の遺産分割調停のご依頼を受けていた際、
依頼者の方(仮にAさんとします)が
「今私に何かあれば、相手方が全部相続することになってしまいますよね。

もっと早く進められないのですか。」とおっしゃったことがあります。
その方は、遺産分割の仕方が決まって、自分の相続分がはっきり決まるまでは、お母様の遺産はお母様の遺産のままで、自分に何かあれば、お母様の子どもは相手方1人となってしまい(2人兄弟でした)、全部相手方が相続してしまう、と思っていたそうなのです。

実はこれは違います。
相続は、被相続人(亡くなった方)の死亡と同時に開始する、ということになっています。
つまり、被相続人が死亡した瞬間に、被相続人の遺産は、相続人全員が既に相続していることになります。
遺産分割は、相続によって相続人全員で共有している状態になっている遺産を、具体的にどう分けるかを決めるものです。

したがいまして、仮に調停中に万一Aさんが亡くなったとしても、既にAさんはお母様の遺産を相続しており、
お母様の遺産の相続分はAさんの財産になっていますので、Aさんの相続人がAさんの相続分を相続して、調停を続けられることになります。

このことは、遺言で遺産の多くを相続した方(仮にBさん)が、他の相続人から遺留分請求を受けている場合も同じです。
遺留分の請求を受けたとしても、既に相続はしていますので、万一遺留分の金額が決まる前にBさんが亡くなったとしても、Bさんの相続人が遺留分の支払い義務ごと相続することになります。
上記Aさんには、以上のようなご説明をして、その点では心配は不要ですので、安心して長生きしてください、と申し上げました。

なお、調停は、1ヶ月に1度くらいのペースが標準で、何か準備や検討に時間がかかるような事項があると、次の調停は2ヶ月先、ということもあります。
早く解決したい方にとっては、長く感じると思いますが、ただ、感情的な対立があるような場合には、直接の話合いよりも調停の方がかえって早いこともありますし、
ケースによっては、少し時間がかかっても調停の中で十分に準備して話し合った方がよいケースもあります。
納得できる内容で解決するため、このような解決方法の選択や進め方も含めて、弁護士とよく相談なさってみてください。


(弁護士 丸山水穂)
 
※このコラムは2018年6月にメールマガジンで配信した内容と同一です。